【↑写真:ポーランド、ショパンの生家にて:2017年3月撮影】
ノクターン(夜想曲)ってどんな曲?
ノクターンは英国の作曲家フィールドが最初に作曲した楽曲と言われています。日本語では「夜想曲」と書いて字のごとく、夜を想う曲。ゆったりとしたテンポの曲が多いです。ショパンもフィールドのノクターンに影響を受け、生涯に21曲のノクターンを作曲しました。
ショパンのノクターンで人気の曲は?
レッスンや発表会で弾いてみたいと仰る方が非常に多い人気の曲はOp.9-2です。耳にすることが多いので、ショパンのノクターンと聞いた時に最初に思い浮かぶ曲といえばコレという方も多いのではないかと思います。ショパンのノクターンは全21曲あり、生前に出版された曲は作品番号:Op(オーパス)で整理されています。この曲はノクターン全集の中で2曲目なので夜想曲(ノクターン)第2番と呼ぶこともあるようですが、一般的には作品9(Op.9)の中の2曲目の曲なので、Op.9-2(作品9の2)と呼ぶのが一般的です。
ちなみに、Op.9は3曲でセットになっており、第1番(Op.9-1)は夜マックのCMでも使われていた、暗く沈んだ雰囲気の曲、この第2番(Op.9-2)は優しく癒しに満ちた雰囲気の曲、第3番(Op.9-3)は雰囲気がガラリと変わって、おどけた中に哀愁のある曲、以上の3曲からなっています。3曲を通して聴くと、この有名なノクターン第2番の良さをもっと実感できると思います♪
作曲されたのはいつ?作曲の背景は?
この曲が作曲されたのは今から200年近く昔の1831年、ショパン21歳の頃です。ショパンは祖国ポーランドを離れて間もない頃で、そして祖国がロシアからの侵略の憂き目に遭っている頃でした。この頃に作曲された「革命のエチュード」がその時のショパンの怒りや悲しみが渦巻いているような曲なのに対して、このノクターンは孤独を優しく癒してくれるような雰囲気の曲になっています。ショパン自身も、気に入っていたのか、自分の弟子によくこの曲を課題として与えており、当時の弟子たちの楽譜には装飾音やパッセージにアレンジが加えられたものが多く残っています。それらの楽譜に書き加えられたアレンジが、弟子が書いたものなのか、ショパン自身が書いたものなのか、不明な物もありますが、およそ20くらいのアレンジが残されています。
ノクターンOp.9-2の難易度は?
難易度としては中上級にあたると思います。ただ、難易度以上に有名すぎる曲なので演奏する際のハードルが高く感じる曲だと思います。この曲にチャレンジする際のポイントとしては、変奏曲のような形式なので、最初の難関である1〜4小節の左手が弾けるようになれば、似た形が多いので先に進みやすくなるかと思います。それでもピアノを始めたばかりの方が原曲を弾くのは難易度が高いですので、易しいアレンジになった楽譜などで演奏を楽しむのも有りかと思います。
ちなみに、楽譜に関してですが、前述の通りこの曲はショパン自身が書いた様々なアレンジのものが残っており、使用する楽譜、演奏するピアニストによって色んな演奏が楽しめます。私はパデレフスキ版の楽譜で演奏していますが、好みで選んで頂いて良いと思います。
(記:小野登充)